頭痛は我慢していい?
痛みを我慢し過ぎると、
日常生活にも影響を及ぼします。
つらいときは鎮痛剤を
上手に活用しましょう。
監修:東京歯科大学 市川総合病院 神経内科 教授
柴田 護先生
頭痛は我慢?
鎮痛剤は、なるべくのみたくない、できるだけ我慢するという方がいます。確かに鎮痛剤には、多かれ少なかれ胃障害が発生する事が報告されており、用法用量を超えたむやみな服用は避けるべきです。
ただ、鎮痛剤を服用せずにつらい頭痛を我慢するというのも考え物です。痛み自体が、日常生活や仕事にも影響を及ぼすのとともに、痛みを耐える事で体にも負担をかけてしまう事があります。痛みを我慢する事がストレスになり、逆に胃に負担をかけるかもしれません。鎮痛剤を適正に用いれば胃障害の発生は通常起きません。※
また頭痛の時には、体内で痛みの元として知られる「プロスタグランジン」という物質が頭痛を発生させます。多くの鎮痛剤がプロスタグランジンの生成を抑えて、痛みに効果を発揮します。つまりプロスタグランジンの生成があまり進んでいない、早い時期に服用したほうがより効果的に鎮痛効果を発揮すると考えられています。
頭痛が起こらないように生活習慣などを考える事が重要ですが、頭痛が発症した際には、上手く鎮痛剤を活用する事も必要です。
頭痛が注意力や集中力、
記憶力の低下にも
頭痛は、痛みがつらいとともに、「認知機能の低下」と呼ばれる状態を引き起こします。例えば、頭痛に悩まされていると、集中できない、理論的にものを考えるのが難しくなる、意思決定に時間がかかる、複数の事が同時にできなくなる、簡単な情報が思い出せないなど、日常生活や仕事にも影響を及ぼす事があります。これらの症状は、頭痛の程度によって起こり方が異なりますが、仕事や勉強の効率を低下させてしまいます。
そもそも痛みとは、潜在的なものを含めた組織の損傷などに関連する不快な感覚的または感情的な経験と定義※されており、頭痛の場合には、首から頭にかけての筋肉や血管の不調などが「注意信号」として、痛みで伝えているとも言え、これらの信号伝達と合わせて、注意力や集中力、記憶力が低下するようになっているとも言えます。
痛みが出ないような生活の改善が優先ですが、頭痛の時は我慢せず鎮痛剤を使用することで、集中力の低下や認知機能の低下を起こさないようメンタルクラリティ(精神面での明晰さ)を保つことも大切です。
監修:柴田 護先生
(東京歯科大学 市川総合病院 神経内科 教授)
平成4(1992)年慶應義塾大学医学部卒業。
日本神経学会神経内科専門医、
日本内科学会総合内科専門医、
日本頭痛学会頭痛専門医、
日本脳卒中学会脳卒中専門医、
日本認知症学会認知症専門医。
※掲載している情報や、監修者の所属・肩書きは、記事作成時点のものです。