生理痛の症状が
ひどい場合
こんな病気が潜んでいることも…
1.子宮内膜症
2.子宮筋腫
3.子宮腺筋症
など
監修: 医療法人ビバリータ ポートサイド
女性総合クリニック
清水 なほみ先生(産婦人科医)
生理痛は仕方がない・いつものことだからと放っておいてはいけません。日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合や、鎮痛薬を服用しても改善しない場合などは、器質性月経困難症かもしれません。
月経困難症には、機能性月経困難症と器質性月経困難症があります。機能性月経困難症はプロスタグランジンの過剰生成や、冷え、ストレスなどを原因とする生理痛ですが、器質性月経困難症は「子宮内膜症」や「子宮筋腫」「子宮腺筋症」などの子宮の病気が原因で起きる生理痛です。器質性月経困難症が疑われる場合や、機能性月経困難症でも症状が強い場合は必ず婦人科を受診し、適切な治療を受けましょう。
1.子宮内膜症
生理がある女性の10人に1人が発症するといわれています。子宮の内側以外の場所に子宮内膜と同じような組織がつくられる病気です。この組織は生理のたびにはがれて出血します。これが何度も繰り返されると、まわりの組織とくっついてはがれにくくなり、強い痛みを感じるようになります。日常生活に支障が出るほど生理痛がつらい、いわゆる「月経困難症」の場合、子宮内膜症が見つかることも多くあるようです。
こんなときは要注意
子宮内膜症は生理のたびに進行するため、生理痛が毎回ひどくなっているといった場合は早目に婦人科を受診しましょう。また腰痛や性交痛、排便痛を伴なうケースも多くあります。低用量ピル・超低用量ピル・黄体ホルモン剤などのホルモン製剤を用いることで、痛みを緩和できる場合があります。まずは婦人科に相談してみましょう。
2.子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍のことです。30歳以上の女性の20~30%にみられ、女性ホルモン(エストロゲン)によって大きくなるといわれています。できる場所や、大きさ、数、成長のスピードは人それぞれで、症状もさまざまです。閉経して女性ホルモンが低下すると小さくなります。
こんなときは要注意
生理痛が強い、生理の量(経血量)が増えるといった症状のほか、筋腫の場所や大きさによっては不正出血、貧血、腰痛、頻尿などの症状が起こりえます。治療が必要かどうかは、筋腫ができた場所や症状によって異なります。小さくて症状がない場合は、治療の必要はありません。
3.子宮腺筋症
子宮内膜と同じような組織が子宮の筋肉内にできてしまう病気です。子宮内膜症も似た病気ですが、子宮内膜症の場合は内膜が子宮筋以外の場所にできるものを指します。子宮筋腫と同様に、女性ホルモンの影響で大きくなり、閉経後には小さくなります。
こんなときは要注意
強い生理痛がある、生理の量が増える、貧血、腰痛、月経期以外の腹痛、排便痛、性交痛などの症状があります。子宮筋腫や子宮内膜症を合併している場合もあり、MRIを用いて診断されます。症状が軽度の場合は治療の必要はありません。
セルフチェック
こんな症状を感じたら、
早目に婦人科に相談しましょう
- 経血量が通常よりも多い(ナプキンが2時間持たない)、または少ない(多い日でも一日1~2回しかナプキンを変えなくてよい)
- 生理の日数が長い(8日以上)、または短い(1~2日で終わる)
- 出血がだらだらと続く
- 生理不順(周期が24日以下や45日以上、又はバラバラ)
- レバー状のかたまりが出る
- 今までに経験したことのないような強い生理痛を感じる
監修:清水 なほみ先生
(産婦人科医)
2001年広島大学医学部医学科卒業、
・広島大学附属病院産婦人科
・中国がんセンター産婦人科
・ウィミンズウェルネス銀座クリニック
・虎の門病院産婦人科を経て、
2010年にポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~を開業。院長として診療をしつつ、現在はWeb・雑誌等にて幅広く健康啓発活動を行っている。※掲載している情報や、監修者の所属・肩書きは、記事作成時点のものです。