風邪でのどが痛い、イガイガする!
のどがつらいときの
症状別対処法
Symptoms - throat- 監修:内田直樹(うちだなおき)先生
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昭和大学医学部 薬理学講座 臨床薬理学部門 教授
昭和大学卒。2014年4月より現職
日本臨床薬理学会 指導医・専門医
食べ物を飲み込むと痛い、イガイガした違和感がある、声がかすれるなど、さまざまな症状であらわれるのどの痛み。不快なのどの痛みの対処法と原因をみていきましょう。
“のどが痛い”ときの
症状別の対処法
ものを飲み込むときに痛い
のどが炎症を起こして腫れていると飲み込むときに痛むことがあります。風邪によるのどの痛みや腫れには、解熱鎮痛成分が含まれた市販の風邪薬も有効です。ただし、発熱や首のリンパ節の腫れなどを伴う場合は細菌が感染してのどが腫れている可能性があるため、早めに医師の診察を受けることが大切です。
のどの痛みが次のような場合は、命にかかわる病気が隠れていることがあるので、すぐに医療機関を受診してください。
のどの痛みで特に注意する徴候
- 経験したことのない強い痛み
- つばを飲み込めない、飲食ができない
- 口を開けることが難しい
- 息苦しい(呼吸困難)
のどの違和感(むずむず痛がゆい)
のどの炎症によってイガイガむずむずとした痛みや違和感を感じることがあります。乾燥や刺激を避け、のどの炎症を和らげることが大切です。
のどのイガイガへの対処法
- のどの炎症を和らげる
のど飴で潤す。殺菌・抗炎症成分のトローチ・のどスプレーを利用する。 - のどへの刺激を避ける
飲酒・喫煙を控える。辛い・熱い食べ物を控える。 - のどの乾燥を防ぐ
マスクの着用、部屋の加湿、水分補給・うがいをする。
声枯れ
のどの炎症によって声がかすれたり、しわがれたり、発声しにくくなったりします。のどのイガイガへの対処法に加えて、無理に声を出そうとせず、症状が落ち着くまで発声を控えることも必要です。
のどの痛みで特に注意する徴候がある場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
咳・痰が出る
風邪では、のどの痛みとともに咳や痰があらわれることがよくあります。ほとんどの風邪は、栄養価の高い食事と水分補給、部屋の加湿などの対処で1週間以内に軽快しはじめます。
咳や痰が長く続いたり悪化してきたときは、細菌感染や他の病気を起こしている可能性があるため、早めに医師の診察を受けましょう。
風邪のとき、どうしてのどが
痛くなるの?原因とは?
のどの痛みが起こるメカニズム
のどの粘膜や周囲の組織に炎症が起きると、プロスタグランジンなどの炎症物質が放出されます。この炎症物質が、のどの痛みやイガイガとした違和感を感じさせたり、のどの腫れ、赤みなどを引き起こしたりするのです。
のどの炎症が、声を出すための声帯などに影響すると声枯れが、気管や気管支に影響すると咳や痰があらわれることもあります。
のどの炎症がのどの痛みを引き起こす
(イメージ図)
のどの痛みを起こす原因
ウイルスや細菌がのどに感染して増殖すると咽頭炎や扁桃炎などの炎症が生じて、のどの痛みを引き起こします。風邪に伴うものはウイルスが原因ですが、溶連菌やインフルエンザ菌などの細菌も咽頭炎や扁桃炎の原因となります。
声の出し過ぎ、喫煙や飲酒の刺激、乾燥によるのどの粘膜の防御機能の低下などが、のどの炎症と痛みを引き起こしている場合もあります。鼻アレルギーや喉頭アレルギー、胃食道逆流症が、のどのイガイガむずむずとした痛みや違和感の原因となることもあります。
まれに、心筋梗塞、大動脈解離といった深刻な病気で、のどから離れた部位の痛みを、のどの痛みとして感じることもあるため注意が必要です。
最後に
風邪が原因ののどの痛みには市販の風邪薬もおすすめです。セルフケアで症状が長引くときや、のどの痛みで特に注意する徴候など気になる症状があるときには、医療機関を受診することを忘れないようにしましょう。