風邪を引いたときにおすすめの
食事は?コンビニで買える
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Nutrition
渥美 まゆ美(あつみ まゆみ)先生
監修:渥美 まゆ美(あつみ まゆみ)先生

株式会社Smile meal 代表取締役
管理栄養士、フードコーディネーター

出版、メディア出演、レシピ開発、レストランやコンビニのメニュー開発などをするとともに、企業向け健康セミナーの講師や企業の健康経営サポートサービス、料理教室、高齢者向け介護予防教室など健康サポート事業にも携わる。


風邪予防に効果的な栄養素

風邪予防に必要なことは、普段から栄養バランスの良い食事をして、体の免疫機能を整えておくことになりますがそこがなかなか難しいですよね。そこで特に風邪予防に良いとされる栄養素を3つご紹介します。

ビタミンC

抗酸化作用に関与する栄養素です。体の代謝やウイルス感染の予防に良いとされます。

(主に含まれる食材)
パプリカやピーマン、ブロッコリー、ほうれん草、キウイ、いちご、みかんなど。

ビタミンA

ウイルスの感染予防に大切な皮膚や粘膜を作る働きをします。

(主に含まれる食材)
レバー、うなぎ、ほうれん草、かぼちゃ、春菊など

たんぱく質

体の組織全てを作ります。酵素やホルモンの調整もします。

(主に含まれる食材)
肉、魚、大豆製品、乳製品、卵など

風邪予防に効果的な栄養素のイメージ

シーン別!風邪におすすめの食べ物

風邪を引いてしまったらとにかく安静にしてウイルスと戦うことが大切になります。胃腸に負担がかからない程度に消耗される栄養素を食事で補えるのが望ましいです。

風邪の引き始め

消化機能が低下しているので、消化の良い食べ物を選ぶのがポイントです。

(おすすめの食べ物)
野菜とたんぱく質が入った味噌汁、ささみなど入ったおかゆ、卵うどん等

症状がつらいとき

高熱時はエネルギー消耗が激しいので脱水がおこらないように水分補給を意識しましょう。

(おすすめの食べ物)
ゼリー、ヨーグルト、栄養ドリンク、経口補水液など。

風邪の治りかけ

体力を消耗していることが多いのでたんぱく質やビタミン、ミネラルを意識的に補いましょう。

(おすすめの食べ物)
卵がゆ、湯豆腐、肉や魚と野菜の蒸し焼きなど


風邪を引いたときの
おすすめ食材10選

風邪で食欲がなくても少量から食べやすく、大切な栄養素をしっかりとれる食材の例をご紹介します。

栄養素の一日の推奨量

まずご参考までに、厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」から 「ビタミンC」「ビタミンA」「たんぱく質」それぞれの一日の推奨量を以下に掲載します。
成人の場合の推奨量であり、乳児や妊婦さん、疾患のある方など、異なる場合もありますが、ご紹介する各食材の情報をご覧になる際の参考になさってください。

  • ・ビタミンCの推奨量(1日あたり)……100mg

    ※1回の食事でとれるビタミンC量の目安:ブロッコリー小皿1皿分(80g)44mg、赤ピーマン1/4 個(40g)68mg、豆苗1/2パック(65g)51mg、キウイフルーツ(黄肉種)1 個(100g)140mg

  • ・ビタミンAの推奨量(1日あたり)……男性850μgRAE、女性650μgRAE *1(18~29歳)

    ※1回の食事でとれるビタミンA量の目安:かぼちゃ小鉢1皿分(70g)150μgRAE、卵1個(55g)120μgRAE、春菊1/4袋(50g)190μgRAE、にんじん1/3本(50g)360μgRAE

  • ・たんぱく質の推奨量(1日あたり)……男性65g、女性50g(18~64歳)

    ※1回の食事でとれるたんぱく質量の目安:鶏むね肉(100g)21.3g、卵1個(55g)6.7g、木綿豆腐1/2丁(150g)10.3g、豚ロース厚切り肉1枚(100g)19.3g、鮭の切り身(80g)17.8g

*1 レチノール活性当量(μgRAE)

=レチノール(μg)+β‒カロテン(μg)×1/12+α‒カロテン(μg)×1/24
+β‒クリプトキサンチン(μg)×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)×1/24

ビタミンAは脂溶性ビタミンであるため、摂り過ぎると体に蓄積し、頭痛や吐き気などを及ぼす可能性があります。
日常的にサプリメントを愛飲している場合など、ビタミンAの過剰摂取には注意しましょう。

おすすめ食材10選

以下では、文部科学省が公表している「日本食品標準成分表(八訂)増補 2023年」を基に、おすすめの食材をご紹介します。

  1. 1.いちご

    冬から春先にかけて果物屋さんやスーパーの店頭にも多く並び、一般的に入手しやすい果物であるいちごもビタミンCをとりやすい食材です。

    いちごの生果実では、可食部100gあたりでビタミンCが62mg 含まれており、またカリウムやカルシウムなど人に欠かせないミネラルもとれます。一口サイズでまるごと食べられる果実には水分が多く含まれ、さっぱりとした酸味があるため体調のよくないときや食欲がないときでも口にしやすいでしょう。

    たくさんのいちご
  2. 2.キウイフルーツ

    ほのかな甘みと酸味のバランスがよく、老若男女問わず人気のキウイフルーツは、ビタミンCが摂りやすい果物の1つです。
    キウイフルーツには「ゴールド」や「グリーン」、「レッド」など様々な種類がありますが、実は含まれている栄養素が異なります。
    ゴールドキウイは果物の中でもビタミンCの含有量がトップクラスで、可食部100gあたりでビタミンCが 140mg含まれています。ゴールドキウイを1個食べれば、1日の推奨量を十分に摂取できます。
    一方でグリーンキウイには腸内環境を整える働きがある食物繊維が多く含まれており、不足分を補うのにおすすめです。ビタミンCも可食部100gあたり71mgと少なくはありませんが、ゴールドキウイの半分程度なので、ビタミンCの摂取にはゴールドキウイがおすすめです。
    また、キウイフルーツは風邪の時でも半分にカットして、スプーンですくって手軽に食べられます。

    お皿に盛られたキウイフルーツ
  3. 3.赤ピーマン

    緑色のピーマンが完熟し、赤色になってから収穫したものが赤ピーマンです。緑ピーマンがもつ青臭さや苦味がやわらいでいて、フルーティーな風味を感じられるのが特徴です。

    赤ピーマンには、可食部100gあたりでビタミンCが 170mg含まれています。肉厚・ざくざくとした食感で少量でも食べ応えがあり、豚肉など肉類とあわせて炒め物にすれば、ビタミンB群やたんぱく質・脂質などもよくとれておすすめです。

    積まれた赤ピーマン
  4. 4.じゃがいも(皮なし)

    1年中流通していて、身近なスーパーなどでいつでも買えるじゃがいもは、消化にやさしい野菜です。

    生のじゃがいもの皮を除いた可食部100gあたりには、ビタミンCが28mg含まれています。じゃがいものビタミンCはデンプン質に守られているため、調理による損失が少なく、またすりつぶしてマッシュ状にしたりスープにすれば、食欲がわかないときでも無理なく食べられるでしょう。
    じゃがいもにはミネラルの一種であるカリウムなども多く含まれていますので、発熱で大量に汗をかいてしまった後や、下痢や嘔吐で体内の水分が失われてしまったときにも適しています。

    ざるの中のじゃがいも
  5. 5.かぼちゃ

    かぼちゃには主に日本かぼちゃや西洋かぼちゃがありますが、一般的にスーパーでよく売られているかぼちゃ(皮が深い緑色で果肉はオレンジ色、加熱すると甘味がありほくほくとした食感)は、西洋かぼちゃにあたります。
    この西洋かぼちゃの可食部100gあたりには、ビタミンAが 210μgRAE含まれています。またカリウムやカルシウムなどミネラル類も豊富に含まれていますので、様々な栄養素をしっかりとりたいという場合におすすめです。

    かぼちゃの断面
  6. 6.鶏肉

    寝込んでいたり、安静にしていながらもお肉を食べられる食欲はある、というときには、肉類のなかでも脂質が少なくカロリーが控え目で胃に負担のかかりにくい鶏肉がおすすめです。
    鶏肉は高たんぱくな食材で、ビタミンA、ビタミンB群やミネラルなどが含まれていることが特徴です。

    例えば、若鶏のむね肉(皮つき・生)には可食部100gあたりたんぱく質が21.3g、ビタミンAが18μgRAE含まれており、若鶏のもも肉(皮つき・生)の場合にはたんぱく質が16.6g、ビタミンAが40μgRAE含まれています。またどちらの部位の場合でも、ミネラルやビタミンB1、B2、B6、B12などの様々な栄養素も一緒にとれます。 さっぱりとお肉を口にしておきたい、という場合には鶏のささみがおすすめです。他の部位と比べて脂質が少なく、鶏のささみ(生)可食部100gあたりでたんぱく質は23.9gと特に高たんぱくであり、またカリウムやマグネシウムなどのミネラルもとれます。

    盛り付けられた鳥のむね肉
  7. 7.卵黄

    卵は食物繊維とビタミンCを除く、必要な栄養素をほとんどすべて含む栄養価の高い食材です。特にからだに不可欠な必須アミノ酸のバランスが良く、質の良いたんぱく質を含んでいます。

    風邪を引いたときにはゆで卵やたまご粥など、卵をまるごと食すこともおすすめですが、卵白はほぼたんぱく質のみで構成されているのに対し、卵黄は脂質やビタミン類もバランスよく含まれています。

    卵黄には、可食部100gあたりたんぱく質が16.5g、ビタミンAが690μgRAE、カルシウムが140mg含まれており、その他のミネラルやビタミンB群も豊富です。

    卵は茹でても充分にこれらの栄養素をとれますので、サラダやサンドイッチなどにちょい足ししたり、食欲がないときに少しずつでも口にいれやすい食べ方をするとよいでしょう。

    お皿のなかの生卵
  8. 8.牛乳・豆乳

    食欲があまり湧かないときや、食事と食事のあいだの時間帯に栄養素と水分を補給しておきたいときには、牛乳や豆乳がおすすめです。

    普通牛乳(低脂肪牛乳や濃厚牛乳などの加工乳ではないもの)では、可食部100g(コップ半分ほど)でたんぱく質を3.3g、ビタミンAを38μgRAE、カリウムを 150mg、カルシウムを110mgなどをとれるほか、マグネシウムやビタミンB群もとることができます。

    大豆からつくられる豆乳では、可食部100gあたりでたんぱく質を3.6g、カリウムを190mgなどといったように、たんぱく質やミネラルなどの微量栄養素も含まれています。調整豆乳(砂糖などを加え飲みやすく加工されたもの)ではエネルギーが増えますが、ビタミンやミネラルを補うドリンクとしてはおすすめです。

    コップに注がれた牛乳
  9. 9.プロセスチーズ

    食卓につくような気力がないけれど少しでも食べ物を口に入れておきたい……という場合には、プロセスチーズがおすすめです。
    プロセスチーズとは、ナチュラルチーズ(生乳などを乳酸菌や酵素で凝固させたもの)に乳酸菌を死滅させる加工・加熱をおこない、保存性を高めた食品です。
    スーパーやコンビニなどでもスライス状のものや6つの扇状にカットされたものが売られていてとても入手しやすく、また個包装になっていて調理不要ですぐ口に入れられるので、手軽に食べられます。

    プロセスチーズの可食部100gあたりには、たんぱく質22.7g、ビタミンAが250μgRAE、カルシウムが 630mgと栄養素も優れており、その他のミネラルやビタミンB群もとれます。

    三角形のプロセスチーズ
  10. 10.豆腐

    温めても常温でも美味しく食べられる豆腐は、風邪を引いたときや食欲のないときにおすすめの食材です。消化が早く、弱っている胃にも優しいのが特徴です。

    木綿豆腐であっても、絹ごし豆腐であっても含まれる栄養素の量にはそれほど大きな違いはありません。

    一例として木綿豆腐では、可食部100gあたりに含まれるたんぱく質が7.0g、カリウムが110mg、カルシウムが93mgなどとなっています。

    お皿に入った豆腐

以上、「風邪の引き始めと治りかけ」におすすめの食べ物を10品目ご紹介しました。 ここからは、風邪がつらい時に便利なコンビニやスーパーでの食べ物の選び方や、避けておきたい食べ物、食欲がない時の対処法を解説します。


症状がつらくて料理ができない…
そんな時はコンビニやスーパーに
頼りましょう

風邪の時に何より大切なのは体を休めることです。「元気になるためにきちんとしたものを食べないと。」と辛い時に家事で体を休められなければなかなか体も回復に向かいません。そんな時はコンビニやスーパーにあるものを上手に頼りましょう。

おすすめなのは胃腸への負担が少ないおかゆや雑炊です。しらすや卵、野菜など入っているものをチョイスするのがおすすめです。食欲があれば1人前の鍋セットのようなレンジ加熱すれば食べられるチルドや冷凍商品もおすすめです。
カレーなど油脂が多いものではなくさっぱりとしたもので温かい汁ものなど水分を補いながらも栄養素がとれるものを選ぶと良いでしょう。

コンビニやスーパーのイメージ

風邪の時に避けたい食べ物は?

胃腸に負担をかけるような食材は避けると良いでしょう。

  • 【脂身のついた肉や揚げ物など脂っこいもの】
    消化に時間がかかるので胃腸に負担がかかります。
  • 【唐辛子など辛いスパイス】
    胃腸への刺激が強いので避けましょう。
  • 【根菜類など食物繊維の多い野菜】
    野菜も良かれと思って選んでも、食物繊維が多いものは胃腸に負担がかかるので、風邪の時は根菜類は避け、比較的食物繊維が強くない葉物野菜などを選ぶと良いでしょう。
  • 【砂糖を多く使ったお菓子やアルコール】
    体を回復させるのに必要なビタミンを消耗してしまいます。
  • 【カフェイン】
    利尿作用があるので熱がある時の水分補給のさまたげになるのでなるべく避けると良いでしょう。

食欲がないときはどうする?

食欲がないくらい体が弱っているときは無理をせずにまずは食べられるものを食べましょう。実は食事をするだけでも人は栄養素を消化、吸収するためにエネルギーを消耗します。
体は回復にエネルギーを使いたいので、食欲がない時に無理に胃腸の消化へエネルギーを回す必要がありません。ゼリー飲料や経口補水液等口に入れられそうなら最低限食べられそうなものを食べると良いです。脱水にならないように水分補給は意識しましょう。

ただし長期間栄養素を摂らないと回復に向かう体力もなくなるので、食べられない状態が続くようでしたら、早めに医療機関を受診することを忘れないようにしましょう。

ゼリー飲料や経口補水液等を摂取するイメージ
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MAT-JP-2406949-1.0-12/2024 最終更新日:2024.12.23

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  • ※ これらの医薬品は、「使用上の注意」をよく読んでお使いください。アレルギー体質の方は、必ず薬剤師、登録販売者にご相談ください。