世界の街の薬屋さん
ドイツの薬屋さんはどんなところ?
ドイツには閉店法があり、遅くまで営業できない小売店が多いなか、薬屋さんは輪番制で夜間や休日対応をしています。
ドイツの薬屋さんは、2つのタイプに分類されています。薬剤師がいて、処方箋が必要な薬や、薬剤師のみが販売できるOTC医薬品(「薬局販売医薬品」)を取り扱う「薬局(Apotheke:アポテーケ)」と、薬剤師がいなくても販売できるOTC医薬品(「自由販売医薬品」)のみを取り扱う「薬店(Drogerie:ドロゲリー)」です。ドロゲリーは、洗剤、石鹸、香水、化粧品、ハーブティなど、薬以外にも様々な製品を販売しています。
薬局(Apotheke:アポテーケ)で対面販売することができるのは、薬剤師(Apotheker)、および薬剤技術助士(PTA:Pharmazeutisch-Technische Assistenten)です。薬剤技術助士は薬剤師の監督下においてのみ、薬の販売が認められています。薬剤師になるためには、4年間大学で薬学を勉強した後、1年間実務研修をし、国家試験に合格する必要があります。薬剤技師助士は2年間専門学校で勉強した後、6カ月間薬局における実務研修が必要で、国家試験に合格しなければなりません。その他に、薬剤商業従業員(PKA:Pharmazeutisch-Kaufmannische Angestellte)という人がおり、薬局で扱う製品の購入・保管など、薬局における商業的な実務を担当しています。
薬店(Dorogerie:ドロゲリー)で働く人は、ドロジスト(Dorogist)と呼ばれています。ドロジストは、店舗実習および職業学校の合計3年間の教育を推奨しています。
ドイツでは、医療用医薬品(処方箋医薬品)以外のOTC医薬品は、「薬局販売医薬品(Apothekenpflichtige Arzneimittel)」と「自由販売医薬品(Freiverkaufliche Arzneimittel)」に分類されています。
「薬局販売医薬品」は、薬剤師がいる薬局のみが販売できるもので、薬剤師によるアドバイスが必須です。痛み止め、咳止めなどが含まれ、消費者が手に届かない場所、カウンターの後ろの棚や、棚の裏側に保管または陳列しています。「自由販売医薬品」は、病気の症状の除去・緩和以外の目的で用いられる医薬品で、薬局義務が課されていないもので、ビタミン類などがあげられます。「自由販売医薬品」は、薬局・ドロゲリーの両方で扱うことができ、消費者が自由に手に取ることができる場所に陳列されています。
カールスルーエは、ドイツ南西部、ライン川沿い、黒い森シュヴァルツバルトの入り口に位置する人口約30万人の街です。フランクフルト国際空港から車で約1時間半の距離にあり、フランス国境やスイス国境も近い都市です。
カールスルーエは「扇状都市」と呼ばれ、城を中心に道路が約30本放射状に延びる特長的な形をしている街で、その原型は約300年前にできあがったようです。市街地には緑が多く、総面積の5割以上が公園・緑地・森となっています。環境に注力している都市として知られるカールスルーエですが、経済・学術・アート・イノベーションの地として、大学や研究所、美術館、博物館などがあります。また、連邦最高裁判所がある司法上重要な都市としても知られています。
ドイツの薬局には統一のマークがあり、どこに行ってもすぐに薬屋さんを見つけることができます。白地に大きくゴシックで「A」と書かれており、Aの中には「白い薬杯」と「蛇」が描かれています。
「A」はApotheke(アポテーケ:薬局)の頭文字であり、「薬杯」は薬剤師が取り扱う薬を、「蛇」はギリシャ神話の医神であるアスクレピオス(医の象徴といわれる、蛇の巻きついた杖は、アスクレピオスの杖とよばれている)を象徴しています。日本のドラッグストアのような位置づけにあるドロゲリーには統一マークはなく、個々のチェーンのマークのみが掲げられています。
ドイツの薬局(Apotheke)は、道路に面した部分が大きくガラス張りになっており、開放的な印象を受けます。棚がズラリと並んでいる日本の薬局とは違い、店内は、入口近くのスペースに棚が数個あるだけでスッキリとした内装になっていたりします。棚には、ボディクリーム、アロマオイル、ハーブティーや飴など、「自由販売医薬品」のみを陳列してよいことになっており、「医療用医薬品(処方箋医薬品)」や「薬局販売医薬品」は、消費者が手に取ることはできないようにカウンターの奥や裏側に保管されています。
薬局の規模にもよりますが、だいたい2~3のカウンターがあり、そこで処方箋を提出したり、症状を説明したりし、薬をだしてもらうこととなります。薬剤師がカウンター横にあるPCに製品の名前を入力すると、奥の窓口に薬が自動的に運ばれて、それを渡してもらうシステムがあるところもあります。
ドイツでは、閉店法により、夜間・休日は一般的に店舗は営業していません(一部例外があります)。平日の営業時間は州によって異なりますが、閉店時間は日本に比べて早く(大きな駅や大都市での例外あり)、18時や19時に閉店する小売店も多くみられます。薬局も通常、夜間や休日はお店を閉めていますが、ドイツでは、輪番で夜間・休日対応サービスを提供しています。夜間・休日対応の薬局は、急患受け入れの病院に提示されている他、地方新聞などでも発表され、薬局の窓口で必要な医薬品を手にいれることができます。
なお、薬店(Drogerie:ドロゲリー)は、「自由販売医薬品」をはじめ、化粧品、香水、衛生用品、健康補助食品、洗剤、オーガニック製品、園芸用薬品など様々な製品を販売しています。店舗によって規模はずいぶん異なるのですが、外観・内装ともに日本のドラッグストアのような感じで、写真の現像サービスの提供をしているところもあります。
ドイツでは、体に何らかの異常を感じる場合は、まずかかりつけ医である一般医に行き、必要であれば一般医が専門医に患者を送ることになります。症状が長引く時や、ひどく具合が悪い時には医者に診察してもらいますが、日常の健康維持や少し調子が悪い時には、街で販売されているOTC医薬品を使う傾向にあるように思います。なお、ドイツでは、医者に処方された薬がOTC医薬品である場合もあります。
薬箱の形態は特に決まっていません。箱のようなものを使用したり、「メディツィンシュランク(Medizinschrank)」と呼ばれる三~四段の薬用の棚を使用している人もいますが、特に特定の場所にまとまって置かない場合も見られます。薬用の棚の場合は、その扉には十字のマークがついていることもあります。一方、けがの手当てに用いる「応急処置セット」は広く普及しています。バンドエイド、包帯、手袋、ピンセット、はさみなどがセットになって、小さなポーチなどに入っており、家庭、車中などに常備しているのもみられます。
一つの地域に長く住んでいる人や年をとった人は、「かかりつけ薬局」が決まっているように思いますが、「かかりつけ医」に比べると「かかりつけ薬局」という意識は低いように感じます。
ただ、2004年に発行された医療保険法改正によって、セルフメディケーションの意識は高まったのではないかと思います。この法により、医者が処方したOTC医薬品は健康保険で負担されることがなくなりましたが、これまで無料だった医者の診察料は、四半期ごとに支払うことになったため、医者に行かずにまずは薬剤師に相談し、セルフメディケーション(OTC医薬品)で対処してみようという傾向がでてきているのではないかと思います。
日本でよく見かける、瓶に詰められている薬をドイツでは、なかなか見かけません。医療用医薬品、OTC医薬品ともに、紙製の箱の中に、写真のような錠剤がはいっていたりすることが多いです。
また、自由販売医薬品以外の医薬品のパッケージは、その大きさ(内容量/数量)によって3種類に分けられています(N1/N2/N3に分類。NはNorm<規格>の頭文字)。
また、錠剤を水に溶かして、ソーダ水のようにして服用するタイプのものがあります。ビタミンやカルシウムなどのサプリメントの他、医療用医薬品にも見られます。
残念...。もう一度挑戦してみよう!
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喉が痛い時にはセージがよいとされており、セージティーを飲んだり、セージのど飴を舐めたりします。なお、ハーブティーはよく飲まれており、種類も豊富です。カモミール、ペパーミント、メリッサなどスタンダードなものから、胃腸の調子が悪い時用、眠れない時用、風邪をひいた時用、咳がひどい時用など、それぞれの症状に合わせたハーブが調合されたものまであります。
風邪の時や食欲がない時などに、ツビーバック(Zwieback)が食べられています。ツビーバックは日本の食パンの1/4くらいのサイズで、トーストしすぎて乾燥しきったパンといった感じ。離乳食のおやつや病人食としても食べられています。
疲れた時や頭が働かない時はブドウ糖を摂取したりします。ドラッグストアやスーパーではラムネによく似た味のブドウ糖が手軽に入手できます。
国名: |
ドイツ連邦共和国 |
面積: | 35.7万平方キロメートル(日本の約94%) |
人口: | 8,180万人(2009年末 独連邦統計庁) |
首都: | ベルリン |
首語: | ドイツ語(公用語) |
(2)Wo ist ein Krankenhaus? ...意味:「病院はどこにありますか?」/ 発音:「ヴォー イス アイン クランケンハウス?」
(3)Können sle bitte einen Rettungswagen rufen? ...意味:「救急車を呼んでもらえますか?」/ 発音:「ケネン ズィー ビッテ アイネン レットゥングスヴァーゲン ルーフェン?」