症状・疾患を知ろう
ゲームの画面や映画などの映像などを見ているうちに、めまいや吐き気など乗り物酔いとよく似た症状が起きることがあります。
ゲームや3D映画などさまざまな種類の映像が多くなるにつれ、乗り物酔いとよく似たゲーム酔いや3D酔いが報告されるようになってきました。画面を見ているうちに、めまいや吐き気など乗り物酔いとよく似た症状を引き起こします。原因は、目(画面)からの情報が耳(内耳)からの情報(三半規管や耳石器からの揺れや回転、加減速などの情報。)や体からの情報と違うことで脳が混乱し自律神経が乱れることによって生じます。例えば、映像からは急激な「加速」や「曲がる」といった(目からの)情報が届いているのに、耳や体は「加速を感じない」「体が傾いていない」のです。こうした仮想空間の情報と現実の自分の内耳や体からの情報が違うことで脳が混乱することが原因になります。
乗り物酔いは大昔からある症状で、ラクダや馬などによる「ラクダ酔い」「馬酔い」なども報告されています。
以前は、乗り物による連続した揺れや加速・減速が、耳の内耳部分にある三半規管や耳石器といった体の平衡をつかさどる器官への連続した強い刺激となり、三半規管や耳石器(内耳にある、平衡をつかさどる器官)がオーバーワークになってしまって体の平衡感覚が乱れ、「めまい」などの「乗り物酔い」が発症すると言われていました(内耳異常説)。
そのため映像や動画から来る乗り物酔い(動揺病)と同じような体調不良は、(身体が基本動かず視覚のみなので)乗り物酔いとは違うメカニズムではないかと言われていました。しかし近年は内耳だけではなく、目からの視覚情報や内耳、体からの全体的な感覚情報が、今までに記憶された感覚情報と違うことで脳が混乱し、うまく適応できない場合に自律神経が乱れるという説が出てきました(感覚混乱説)。
この説を元に考え「ゲーム酔い」や「3D酔い」は実際に乗り物に乗っていなくても「乗り物酔い(動揺病)」のひとつと言われています。
富山大学医学部 耳鼻咽喉科 耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座 教授
富山医薬大卒。2012年9月から現職。日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本めまい平衡医学会専門会員、日本めまい平衡医学会めまい相談医。
【所属学会】Barany Society、日本耳鼻咽喉科学会、日本めまい平衡医学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会、耳鼻咽喉科臨床学会、日本臨床神経生理学会、日本自律神経学会
※掲載している情報や、監修者の所属・肩書きは、記事作成時点のものです。
エスエス製薬「ゲーム酔い/3D酔いに関する実態調査」(2020年5月)
調査対象「ゲームを趣味とする15〜49才男女」(n=33,279)
ゲーム酔い/3D酔いという症状について知っているかどうかを尋ねたところ、4割の方が知っていると答え、聞いたことがあるが、よく知らないと回答した層を含めると67%がゲーム酔い/3D酔いを認知していました。
最近1年間で経験した症状では、 「肩こり・腰痛」を挙げた人が最も多く(57.9%)、次いで「頭痛」(54.5%)「目の疲れ・充血・かゆみ」(54.0%)となりました。「ゲーム酔い/3D酔い」を経験した人は8.2%でした。
3D酔い経験者に3D酔い(ゲーム酔い)を経験したときにどのような症状だったかを聞いたところ、めまいや吐き気・嘔吐、頭痛を挙げる方がいました。
1週間に平均してゲームをどのくらいの頻度でゲームをするかをゲーム酔い/3D酔い経験者と非経験者それぞれに聞いたところ、3D酔い経験者は平均で11.9(時間/週)だったのに対し、3D酔い非経験者では7.7(時間/週)でした。
ゲーム酔い/3D酔い経験者1,885人に聞いたところ、ゲーム酔い/3D酔いを感じ始める時間では3時間以上が26%と最も多い一方、 30分未満で感じ始める人も15% いることが分かりました。