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2024年 花粉情報
2024年シーズンの花粉情報をご覧いただきありがとうございました。今シーズンの花粉飛散予報マップリアルタイム更新は終了しました。
情報提供元:天気予報API
2024年春のスギやヒノキの花粉数は東北北部と東海地方で2023年春より多くなりますが、その他の地方は2023年春より少なくなるでしょう。特に北陸地方や中国地方、四国地方、近畿地方の一部では2023年の50%以下になる地域が多くなる見込みです。
この数字は2023年春の花粉数が非常に多くなったためで、例年と比較すると少ない地方で60%前後、大半の地域は例年の70%から120%になる見込みです。
北海道を除く60地点のうち、シーズンあたり2,000個/㎠未満は4地点だけで、およそ80%の地域が3,000個/㎠を超えるでしょう。統計的には花粉数が2,000個/㎠を超えると多くの花粉症患者が発症し、重症になる人も多いことが知られています。
2024年春も適切な予防対策を取ってください。
2023年春は全国的に花粉が多くなりました、スギやヒノキの花粉を放出する雄花は大量に咲いた翌年は減少します。このため、2024年春のスギやヒノキの花粉数は2023年春よりかなり少なくなる見込みです。実際に2023年の11月から12月のスギ雄花の調査では34地点のうち30地点で前年よりも減少していました。一方、花粉数に影響する6月から7月の日照時間は平年並みか平年よりやや多くスギ雄花の数は前年より少ないものの例年並みかやや少ない程度になっています。
関東地方では試験的にヒノキの雄花数の観測を実施していますが、2023年初冬に調べた結果ではヒノキの雄花数は前年よりやや少ない程度で、ほぼ例年並みかやや多くなっていました。2024年春のヒノキの花粉数は例年並みと考えてください。
2024年の花粉数は多くの地域でシーズンあたり3,000個/㎠を超え、山沿いでは10,000個/㎠を超える地域もある見込みです。
2023年春に花粉数が大量になったために、花粉に対して過敏性が高いままの状態で2024年花粉シーズンを迎えることになります。特に、2024年は花粉の飛散開始が早くなる可能性が高いので、スギ花粉症の患者さんは例年より早めの予防対策が必要になります。
近年はスギ花粉の飛散開始からごく短い期間で花粉が急増しますので注意が必要です。花粉症の薬は早めに用意をしておき、マスク、メガネ、帽子、手洗いなど花粉を予防する対策を複合的に行うことが必要です。
大量飛散目安である2,000個/㎠(平方センチメートル)/シーズンを超える飛散量が予測されます。
データ提供:
NPO花粉情報協会 主要16都市での第1回予測
浜松市を除き、2023年より減少する地区が多いと予測されます。
データ提供:
NPO花粉情報協会 主要16都市での第1回予測
ほとんどの地域でほぼ例年並みから多いと予測されています。
例年とは直近10年の平均値を指します。
データ提供:
NPO花粉情報協会 主要16都市での第1回予測
スギの雄花は11月後半から12月にかけて活動を停止して休眠しています。この期間の気温が低いほど休眠から早く覚醒します。
2023年の11月から12月の気温は平年よりやや高めでしたが、年末に低温になりました。スギ雄花の休眠覚醒もほぼ例年並みの見込みです。
休眠から覚醒して開花準備に入る2024年1月の気温は平年より高い予想で、2月も気温の高い状態が続く予想です。気温の推移からは2024年のスギ花粉の飛散開始は例年並みかやや早くなるでしょう。関東から西の太平洋側の地方は2月上旬から要注意で、場合によっては1月下旬から飛散が始まる可能性もあります。
スギの雄花は11月初めには完成し、その後休眠に入ります。この休眠期間の気温が低いほど休眠から早く目覚めます。2023年の12月は強い寒気の影響で一時的に冷え込みましたが、12月の気温は全国的にほぼ平年並みかやや高めでした。
スギ雄花が休眠から覚醒する時期はほぼ例年並みです。2024年の1月は全国的に平年並みか平年よりやや高い気温が予想されています。飛散開始は例年並みかやや早くなる可能性が高いのですが、1月末から2月にかけて一時的に平年より高い気温になると例年より早くなる可能性がありますので、この時期の気温に注意してください。
花粉の数は全国的に増加しています。花粉が多くなると飛散が始まってから本格飛散になるまでの期間が短くなります。
花粉の飛散開始のニュースを聞いたらすぐに対応できるように、花粉症の人は早めに花粉症の薬を用意するように習慣づけましょう。特に、2023年春に早めに花粉症の症状が出た人は少量の花粉で発症するタイプですから要注意です。薬を選択する際には眠気の少ない薬を選ぶようにしてください。
マスクは花粉をある程度防ぎますが、内側にガーゼを当てておくとさらに防御効果が高くなります。花粉がピークになる2月末から3月は試験のシーズンでもあり、特に学生さんは注意してください。
データ提供:NPO花粉情報協会
NPO花粉情報協会 理事
村山 貢司 先生
花粉飛散量、飛散時期に関する情報の監修をしていただきました。
スギ花粉症の有病率は増加傾向にあります。2016年に施行された東京都の有病率調査では東京都民の48.8%が花粉症と報告され、2019年に施行された耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした全国疫学調査でも38.8%と高い有病率が示されました。このように国民病ともいえるスギ花粉症の対策を行ううえで、花粉飛散予測や日々の花粉飛散情報を知ることは症状をコントロールする上で重要です。
2023年のシーズン中に観測された総飛散花粉数は6,884 個/㎠であり前年の1.7 倍でした。それにともない当院を受診した花粉症の総患者数は1,496名(初診 1,104人、再診 392人)で前年の1.4 倍でした。内訳では、初診患者数が1.4 倍、再診患者数が1.5 倍でした。2023年シーズンは過去4年間のなかで花粉総飛散数、受診患者数ともに最も多い年となりました(図1)。2020年から2022年までの3年間は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を大きく受けた年でした。特に昨年の1、2月はCOVID-19第6波の時期と重なったため、例年と比較して昨年の初診患者数、再診患者数は低かったと考えられます。しかしで2023年シーズンは、COVID-19感染者の減少やCOVID-19に対する警戒心の緩和に加え花粉飛散数増加も影響して患者数が増加したと考えられます。
昨年における週毎の患者数と花粉飛散数の関係を図2に示します。例年同様に花粉飛散開始日より前から耳鼻咽喉科を受診する患者数が多く、初診患者の立ち上がりは1月23日~1月30日(第4週)でした。これは飛散開始日よりも約3週間早いものです。この現象はwithコロナ時代における飛沫対策を意識した患者さんが多いことや、早めの診断治療を希望する患者が増加したためと考えられます。初診患者数のピークは228名であり、前年(158人)の約1.4倍でした。これは当院にて調査が行われた2019年以来最多で花粉飛散数の増加が影響したと考えられます。また、再診患者数が例年より多いのは、例年通りの治療法では症状が制御できず、強めの薬剤や頓服薬、生物学的製剤などの追加治療を希望して再診する患者が多かったためと考えられます。
花粉数:大田区のダーラム測定器で測定したデータより
患者数:世田谷区の浅香耳鼻咽喉科クリニックを受診した花粉症患者数より(初期治療患者数は除く)
図1 患者数と花粉飛散数(2019-2023)
図2 週毎の患者数と花粉飛散数(2023)
例年、スギ花粉症は2月の中旬頃から飛び始めます。実際には1月と2月の気温の影響を受けるので、暖かくなり始めたら注意が必要です。特に近年は暖冬の影響で早めに飛散するケースも見受けられます。飛散開始前でも少量の花粉が飛んでいる日があるので、敏感な人は反応して症状が現れます。症状が出現したら早めに医療機関を受診しましょう。2024年のスギ、ヒノキ花粉も例年より多い飛散量が予想されます。早期に薬を使用すれば効果的に症状を抑え込めます。また、花粉飛散数が多い日は、例年使用している薬剤のみでは症状が制御できないこともあります。そのような場合は医療機関で追加治療を相談してみましょう。
浅香耳鼻咽喉科クリニック 院長
東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科 非常勤講師
浅香 大也 先生
花粉飛散量と患者数の推移に関する情報を提供していただきました。
早めの服用で花粉シーズンの鼻ムズが軽減!?
出典:大久保公裕(著)「あなたの知らない花粉症の治し方」〈暮しの手帖〉より作成(著者の了承を得て一部改変)