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花粉症を
引き起こす
植物の種類
~ブタクサ~
監修:NPO花粉情報協会
事務局長 佐橋紀男先生
キク科
(ブタクサ Ambrosia artemisiifolia)
1年草
畑地、樹園地、牧草地、道ばた、河川敷、荒れ地などに自生する外来雑草。
原産地:北アメリカ
ほぼ日本全国に分布。
マメ知識
日本へは明治初期(1877年頃)に渡来したと言われ、昭和初期に全国的に広がり、その後定着したと言われています。葉は柔らかく、ヨモギに似た形状をしています。ブタクサの名前は、英語の通称名ホッグウィード<hogweed;hog=豚、weed=雑草>から来ています。小児喘息の原因植物ともされ、韓国では輸入禁止植物となっています。
同じ北アメリカ原産でキク科の「セイタカアワダチソウ」も、空き地や荒れ地、河川敷などに群生しブタクサと間違われることがありますが、こちらは虫が花粉を運ぶ「虫媒花」なので、花粉を空中に飛散させることは少ないですが、特に群生地付近ではブタクサ同様に飛散することが確認されています。原産地の北アメリカではこの仲間(アキノキリンソウ属)は花粉症原因植物として報告されています。
ブタクサは風で花粉を運ぶ「風媒花」で、夏から秋にかけての花粉症の主な原因はこのブタクサやヨモギなどキク科の植物と言われています。そして日本で初めて見つかった花粉症はこのブタクサ花粉症なのです。欧米でもブタクサアレルギーの患者は多く、イギリスのイースト・アングリア大学が行った花粉症と温暖化についての調査では、ヨーロッパ地域では今後50年でブタクサアレルギーの症状を発症する患者数が2倍になる可能性があると発表しました。温暖化によりブタクサ花粉の濃度が濃くなったり、飛散シーズンが長くなるという懸念もあり、世界規模で花粉症問題が深刻化しています。
ブタクサ花粉症も春の花粉症と同じく、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりが主な症状です。そのほかに目・鼻・のどのかゆみなどがありますが、鼻や目の症状より、喉や肌に出やすいとも言われます。マスクやメガネをする、手洗い、うがい、洗顔などの基本的な対策はスギやヒノキの花粉症と同じですが、スギやヒノキと違い、ブタクサなどキク科やイネ科の草花は背が低いため、花粉が遠くに飛ぶことはないので、ブタクサが生えているところに近付かないことが一番の対策です。発症してしまったら早めに医療機関で受診しましょう。